エヴァ「最低だ俺って」の衝撃 シンジの孤独と庵野秀明の意図
この過酷なシーンを生み出すにあたり、キャスト陣にも凄まじい負荷がかかっていた。シンジ役を演じた声優の緒方恵美は、後に当時のアフレコについて「本当に精神を削られる作業だった」と振り返っている。テストなしの一発録りに近い極限のテンションで収録が進められ、キャラクターと同化しすぎたあまり、ブース内で激しい嘔吐感や過呼吸に襲われるほどの精神状態に追い込まれたという。
台本を受け取った瞬間から現場の空気は張り詰め、演技という枠を超えた剥き出しの感情のぶつかり合いが記録された。嘘のない生の感情をフィルムに焼き付けるため、演者に極限の負荷を強いる――そのすさまじい執念が、あの数秒の台詞に凄まじい説得力を宿らせたことは間違いない。