志茂田景樹の若い頃がイケメンすぎ!派手髪の真相と波乱の半生
志茂田景樹氏は1940年(昭和15年)3月25日生まれ、東京都立石神井高等学校を経て中央大学法学部政治学科を卒業しました。名門私大の法学部卒という学歴だけを見れば、絵に描いたようなエリートコースを想像しがちですが、その後の人生は絵に描いたような挫折と漂流の連続でした。
大学卒業後、一度は大手生命保険会社に就職したものの、組織の歯車として生きる日々に馴染めずわずか数か月で退職。そこから、作家としての確固たる足場を築くまでの約15年間にわたり、40種以上とも言われる過酷な職歴を重ねることになります。
興信所の調査員(探偵)、業界紙記者、週刊誌のフリーライター、タクシー運転手、マネキン人形の運搬作業員、バーテンダー、日雇い労働――。生活は常に困窮を極め、電気やガスを止められることは日常茶飯事でした。しかし、このどん底の生活で出会った社会の裏側、人間の業、欲望、弱さの観察こそが、のちに作家として花開くための掛け替えのない一次資料となったのです。
そして1980年、40歳の時にマタギの世界を濃密な筆致で描いた骨太の長編小説『黄色い牙』で第83回直木三十五賞を受賞します。遅咲きの新人作家として文壇の頂点に登り詰めた瞬間、かつて職を転々とした放浪の日々は、すべて文学的な結晶へと昇華されました。