栗原はるみの肉じゃがが絶賛される理由|だし汁なし黄金比の極意
栗原はるみ氏の肉じゃがは、使う肉の種類によって異なる表情を見せます。関西で主流の牛肉(牛切り落とし肉や牛肩ロース薄切り)を使用する場合、牛肉特有の甘い脂の香りがしょうゆベースのタレと溶け合い、すき焼きを彷彿とさせる贅沢な仕上がりになります。牛肉を使う際の鉄則は、「煮込みすぎによる肉のパサつき」を防ぐため、サッと炒めて色が変わった段階で一度皿に取り出し、じゃがいもが柔らかくなった最後の数分で鍋に戻し入れることです。
一方、東日本で親しまれる豚肉(豚バラ肉や豚肩ロース薄切り)を使用する場合、豚肉のしっかりとした脂身の旨味がじゃがいも全体にコーティングされ、ご飯が止まらなくなる力強いおかずへと昇華します。豚肉の場合は、脂をしっかり引き出すように玉ねぎと一緒に炒め合わせることで、コクの深さが格段に増します。
そして、だし汁を使わない調理において最も重要なのが「落とし蓋の技術」です。煮汁の量が少ないため、通常の鍋蓋だけでは熱と蒸気が具材の上部に届きにくくなります。ここでクッキングシートやアルミホイルで中央に小さな穴を開けた落とし蓋を密着させることで、少量の濃厚な煮汁が蒸気とともに蓋の下で細かく泡立ち、具材全体を包み込むように均一に対流します。これにより、じゃがいもをかき混ぜて煮崩れさせることなく、全体に美しい照りと均一な味を行き渡らせることができるのです。