スマホがない時代の待ち合わせや連絡はどうしてた?昭和平成の知恵と実態
見知らぬ土地へ出かける際のナビゲーションも、現在とは根本的に異なっていました。移動の必須アイテムは、本屋で購入した「分県地図」や「道路地図(マップルなど)」、そして手のひらサイズの「ポケット時刻表」です。
事前に路線図を開き、どの列車に乗り継ぐかをあらかじめメモ帳に書き留めて出発するのが基本でした。万が一道に迷った場合は、通行人や交番の警察官、あるいは個人商店の店主に直接声をかけて道を尋ねるしかありません。街の人々との突発的な会話やコミュニケーションが、移動のプロセスそのものに組み込まれていたといえます。
移動中や待ち時間の「暇つぶし」も極めて自発的なものでした。現代のように無限にスクロールできるショート動画やSNSは存在しないため、移動中の電車内では以下のような過ごし方が主流でした。
文庫本や新書を常にカバンに忍ばせておく読書文化、駅売店(キヨスク)で買った新聞や週刊誌、携帯型カセット・CDプレイヤー(ウォークマンなど)での音楽鑑賞、あるいは携帯ラジオの深夜放送を録音したカセットテープを聴くといった行動です。何もしない時間は「退屈」であると同時に、思考を巡らせたり車窓の景色を眺めたりする「余白の時間」として機能していました。