2026年、食卓の主役が変わる——値上げの波を逆手に取る「鶏肉の部位」解体新書
平日の夕暮れ時、都心の大手スーパーで最も早く棚が空になるのは、もはや特売のもも肉ではない。買い物客の籠へ次々と吸い込まれていくのは、肩肉(ふりそで)や小間切れ肉だ。
もも肉のコクは捨てがたいが、脂身が重く感じる日もある。一方で、むね肉は経済的だがパサつきを抑えるための下処理が面倒——そんな日常の小さなジレンマを埋めたのが、胸とももの中間に位置する「肩肉」だった。繊維が細かく、適度な脂を含みながらも後味は軽い。唐揚げにしても縮みにくく、冷めても固くならない。
「もも肉より2割ほど安く、むね肉より圧倒的に調理が楽」。売り場で出会った30代の会社員はそう言い切った。節約という後ろ向きな動機から始まった選択が、結果として舌を肥えさせ、既存の定番を過去のものに追いやっている。