杉並のグラウンドから世界へ:Fcアヤックス杉並が貫く育成理念と地域フットボールの深層
アヤックスという名を聞いて、フットボールファンが思い浮かべるのはオランダ・アムステルダムの伝説的クラブだろう。ヨハン・クライフを擁し、ピッチ上の全員が攻撃と守備を自在にこなす「トータルフットボール」を世界に提示した名門だ。その哲学の神髄は、完璧な基本技術と、目まぐるしく変化する盤面を読み解く戦術眼にある。
杉並区という都心の住宅密集的エリアで、このオランダ流の思想がどのように根を下ろしたのか。答えはシンプルだ。指導陣が追求したのは、日本の少年サッカーにありがちな「大人の指示通りに動くロボット」ではなく、「自ら局面を打開できるフットボーラー」の育成だった。
早熟な体格差に頼ってロングボールを蹴り込むスタイルは、小学生年代では勝利をもたらすかもしれない。しかし、体が大きくなった育成後半期に必ず壁に突き当たる。アヤックス杉並が重視するのは、狭いエリアでも慌てずボールを保持し、相手の逆を取るアイデアだ。