孤高の詩人・茨木のり子が現代に放つ言葉の力と知られざる素顔
晩年に筑摩書房から刊行された詩集『倚りかからず』は、詩集としては異例中の異例となる数十万部のセールスを記録した。組織や権威、集団心理に寄りかかって思考停止に陥る危うさを、明晰な言葉で撃ち抜いたこの作品は、バブル崩壊後の閉塞感にあえぐ日本社会に巨大な衝撃を与えた。
誰かの後ろに隠れて安全圏から石を投げるような生き方を拒絶し、ひとりの独立した個として荒野に立つこと。彼女が示したその佇まいは、アルゴリズムに操られ、安易な同調に流されがちな現在の読者の心に、ひときわ鋭い警鐘として鳴り響いている。