ハウルの動く城|ソフィーの呪いが解けた本当の理由を徹底考察

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本作における敵対勢力の配置は、単純な勧善懲悪では片付けられません。荒地の魔女がハウルを執拗に追っていたのは、かつてハウルと情を通じていた過去があり、「若く美しいハウルの心臓を手に入れ、自らの若さと美貌を保つため」でした。しかし宮廷魔術師サリマンの罠によって魔力を剥奪された後は、過去への執着を残したままの無力な老人へと退行し、ソフィーたちの「動く城」という擬似家族の一員として受け入れられていきます。

一方、王宮の頂点に君臨するサリマンは、隣国の王子失踪を口実に泥沼の戦争を指揮する冷徹な権力者です。サリマンの真の狙いは、国威発揚だけでなく、「国家の統制に従わない野良の魔法使い(ハウルや荒地の魔女)をすべて召喚・無力化し、王室の支配下に置くこと」にありました。

物語のラスト、カブの呪いが解けて隣国のジャスティン王子であることが判明すると、サリマンは水晶球越しに「総理大臣と参謀総長を呼びなさい。このくだらない戦争を終わらせましょう」とあっさり告げます。この身勝手な幕引きは、国家指導者たちがいかに私欲や面子で無辜の民を巻き込む戦争を始め、いかに軽薄にそれを終わらせるかという、宮崎駿監督の強烈な政治風刺が込められています。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。