サルトルの実存主義とは?「自由の刑」の真意と代表作を徹底解説
サルトルの哲学は、論理的な論文だけでなく、卓越した文学作品を通じても表現されました。その理解を深めるための決定的な2作を紹介します。
1938年に発表された小説『嘔吐』のあらすじは、歴史家アントワーヌ・ロカンタンの日記形式で進みます。主人公はある日、海岸の小石や街路樹の根といった日常の事物が、何の理由も目的もなく「ただそこに在る」という事実に対して、言いようのない生理的嫌悪感(吐き気)を覚えます。世界の不条理さと、意味など何ひとつ付与されていない剥き出しの存在そのものに直面する人間の孤独と目覚めを描いた傑作です。
一方、1943年に著された主著『存在と無』を要約すると、世界を構成する「存在」の構造を解き明かした現象学的名著です。サルトルは存在を大きく2つに分けました。石や机のように自意識を持たず自己完結している「即自存在(そくじそんざい)」と、常に自分自身を意識し、未来に向かって自己を投げ企てる(投企する)人間のような「対自存在(たいじそんざい)」です。人間は固定化された「何者か」ではなく、常に自らの「無」を抱えながら未来を選択し続ける存在であると論破しました。