画狂老人卍の真実!葛飾北斎が晩年に辿り着いた絵画の極致とは
世界中で知られる大傑作『富嶽三十六景』、そしてその中でも最高峰の木版画と称賛される『神奈川沖浪裏』。北斎がこれらを世に送り出したのは、実に70代前半のことだった。同時代に活躍したライバルの歌川広重が抒情的な風景描写で庶民の心を掴んだのに対し、北斎のダイナミックかつ幾何学的な画面構成は、浮世絵の概念そのものを塗り替えた。
しかし、当の北斎にとって版画の世界的成功は、到達点ではなく単なる通過点に過ぎなかった。量産可能な木版画という媒体では、自らが脳内で捉えた一筋の光、一滴の水のゆらめきを100%表現しきれない。このジレンマが、彼を次なるステージへと突き動かしていく。