くも膜下出血と脳梗塞の違いは?初期症状で見抜く救命と後遺症の真実
「脳卒中」とは単一の病名ではなく、脳の血管が詰まる、あるいは破れることによって脳細胞が損傷を受ける病気の総称です。医療現場や学会の分類において、脳卒中は主に「虚血性(詰まるタイプ)」と「出血性(破れるタイプ)」の2つに大別され、そこからさらに細分化されます。
まず、脳卒中全体の約6割から7割を占めるのが脳梗塞(虚血性脳卒中)です。動脈硬化や不整脈(心房細動など)によって作られた血栓が脳の動脈を塞ぎ、その先の脳細胞へ血液や酸素が届かなくなって組織が壊死(梗塞)していきます。心臓から飛んできた大きな血栓が太い血管を塞ぐ心原性脳塞栓症や、脳内の細い血管が詰まるラクナ梗塞など、閉塞する血管の太さや原因によってさらに分類されます。
一方、血管が破れて脳内に血液が溢れ出るのが出血性脳卒中です。これには「脳出血」と「くも膜下出血」の2種類が存在します。脳出血は主に高血圧を背景として、脳の内部を走る微小な動脈が破綻し、脳実質の中に血腫を形成して周囲の神経組織を圧迫・破壊します。
これに対してくも膜下出血は、脳の表面を覆う3層の髄膜(硬膜・くも膜・軟膜)のうち、「くも膜」と「軟膜」の間にある脳脊髄液で満たされた空間(くも膜下腔)に出血が起きる病態です。原因の約85%以上は、脳の太い動脈の分岐部にできた「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」と呼ばれる血管のコブが破裂することに起因します。脳の深部ではなく、脳の表面全体へ瞬時に真っ赤な動脈血が高圧で吹き荒れるため、頭蓋骨の内部全体の圧力が急激に跳ね上がり、脳全体が致命的なダメージを受けるのです。