ベトナムの一弦琴ダン・バウに魅せられた演奏家・小栗久美子|音の架け橋が拓く伝統と革新

ベトナムの一弦琴ダン・バウに魅せられた演奏家・小栗久美子|音の架け橋が拓く伝統と革新に関する最新のニュースを速報でお届けします。関心のある方は必見です。

大学卒業後、小栗は運命的な音との遭遇を果たす。それがベトナムの民族楽器「ダン・バウ」であった。

ダン・バウは、共鳴胴の上に張られた1本の弦と、端に取り付けられた竹製の桿(かん:ツノのような弾力のある棒)のみで構成される。一見すると極めて単純な仕掛けに見えるが、その奏法は極めて独特だ。右手の掌側面で弦の特定ノード(倍音点)に軽く触れながらピックで弾くことで「ナチュラル・ハーモニクス」と呼ばれる透明感あふれる高音を発生させる。

さらに左手で竹の桿を揺らすことで弦の張力をリアルタイムに変化させ、連続的なピッチベンド(音程の滑らかな移動)や、人間の歌声のようなゆらぎを生み出す。

「弦1本から、なぜこれほどまでに多層的で切ない音が生まれるのか」

その神秘的な音色と無限のニュアンスに強い衝動を受けた小栗は、独学の領域にとどまることなく、本場ベトナムへの現地留学を決意する。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。