なぜ世界は「カオナシ」に怯え続けるのか?『千と千尋』公開25年目の2026年に明かされる“心理的トラウマ”の正体
カオナシの本当の恐ろしさは、物語の中盤、油屋の青蛙を飲み込んでから顕著になる。彼は自分自身の声を持たない。呑み込んだ青蛙の声を使って喋り、周囲を威圧し始めるのだ。他人の声を借りてしか意思表示ができないという事実は、生理的な気持ち悪さを伴う。
これは単なる怪物の捕食ではない。他者のアイデンティティを奪い取り、それを切り貼りして自分の人格として振る舞う「寄生」の恐怖だ。声を偽り、肥大化した身体で欲望を撒き散らす姿は、自己を持たない存在が他者を侵食していくプロセスそのものであり、見ている者の生理的嫌悪感を極限まで高める。