『私はピアノ』色褪せぬ名曲の誕生秘話!原由子・研ナオコ・高田みづえの魅力
『私はピアノ』の歌詞が今なお色褪せない理由は、主人公の女性が抱く「自立したい自尊心」と「捨てきれない未練」の葛藤が極めてリアルに描写されている点にあります。
冒頭の「人もうらやむよな仲が いつも自慢の二人だった」という回想から一転、男性の身勝手な振る舞いや移り気に翻弄される様子が綴られます。サビで繰り返される「ビリー・ジョエル もうやめて」というフレーズは、甘い思い出を呼び起こす都会的なBGMを拒絶しつつも、寂しさに耐えかねて音の余韻に身を委ねてしまうアンビバレントな心情を見事に切り取っています。
自らを「ピアノ」になぞらえる比喩表現は、相手の指先ひとつで音色(感情)を変えられてしまう受け身の脆さを象徴しており、同時に自らの手で哀しみの旋律を奏でて昇華しようとする健気な強さをも内包しています。この多層的な心理描写こそが、桑田佳祐の真骨頂です。