Nhkの帝王・島桂次の光と影|巨大メディア構想と失脚劇の真実
彼のキャリアの原点は政治部の取材記者にある。自民党主流派や最高権力者たちに肉薄し、政界の奥の院で蠢く生々しい情報をすくい上げる手腕は群を抜いていた。日本の政治ジャーナリズムにおいて、取材対象である政治家とこれほど深く食い込み、時に互角以上に渡り合った記者は極めて稀である。
取材で培った政治的センスと権力構造を知り尽くした経験は、彼がNHK内部で出世階段を駆け上がる際の強力な武器となった。報道局長、専務理事、そして会長へと登り詰める過程で、彼は公共放送の従来の「事無かれ主義」を徹底的に排除。ジャーナリズムの牙を研ぎ直すと同時に、自らの意思を即座に現場へ反映させる強固なトップダウン体制を構築していった。