『もののけ姫』タタラ場の女たちの過去とは?エボシが雇った理由と真実
タタラ場における女性たちの主な仕事は、炉に風を送り込んで火力を維持する「踏み踏鞴(ふみふいご)」の操作です。交代制で4日4晩踏み続けなければならない過酷な重労働であり、足腰への負担や高熱による消耗は想像を絶します。
歴史的事実として、当時の日本の「たたら製鉄」は厳格な女人禁制の領域でした。火の神・金屋子神(かなやごかみ)が女性神であるため「女性が入ると嫉妬して良質な鉄が沸かない」というタブーが強く信じられていたためです。エボシ御前はその因習を真っ向から打ち破り、あえて女性たちを工場の中心戦力として抜擢しました。
アシタカがタタラ場を訪れ、ふみふいごを踏む場面で、女性たちは「ここは男の仕事場よりずっと飯も腹いっぱい食えるし、威張っていられる」と誇らしげに語ります。過酷な肉体労働であるにもかかわらず彼女たちが生き生きとしているのは、「自分の力で稼ぎ、誰にも頭を下げずに暮らせる自由」を手に入れた喜びが、過去の苦しみを上回っているからに他なりません。