人間力とは?能力が高くても評価されない人との決定的な差と鍛え方
「人間力」という言葉は抽象的で主観的な印象を持たれがちですが、国レベルで綿密に定義付けられた公的な指標が存在します。2003年に内閣府が設置した「人間力戦略研究会」の報告書において、人間力は「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と明文化されました。この報告書では、以下の3つの構成要素がバランスよく統合されている状態を人間力の成熟と定めています。
第1の柱は「知的能力的要素」です。学校教育で培われる基礎的な学力や専門知識にとどまらず、それらを現場で応用して新しい価値を生み出す論理的思考力、創造力、そして自ら課題を発見して解決へと導く構想力がこれに該当します。机上の空論で終わらせず、実践知としてアウトプットする力が求められます。
第2の柱は「社会・対人関係力的要素」です。他者の意見を傾聴し的確に自己を表現するコミュニケーション能力、多様な価値観を受け入れる柔軟性、共通の目的に向かって協働するリーダーシップやチームワークがここに含まれます。さらに、規範意識や公共心、職業倫理といった「社会の一員としての誠実さ」も不可欠な要素です。
第3の柱は「自己制御的要素」です。目標に向かって主体的に行動を起こす意欲、自らの感情や行動をコントロールする自律心、困難や予期せぬ失敗に直面しても折れずに立ち直るレジリエンス(精神的回復力)を指します。どれほど高い知性や社交性を持っていても、この自己制御力が弱ければ、プレッシャー下で自暴自棄になったり責任転嫁に走ったりすることになります。