裏千家前家元・千玄室の晩節に何が?巨大組織を揺るがす疑惑の真相
事態をさらに複雑にしているのが、裏千家15代家元である千玄室と、現家元である裏千家16代家元・千宗室(坐忘斎)との間に横たわる、埋めがたい権力バランスの歪みだ。2002年に家元を千宗室へ譲り「大宗匠」となって以降も、千玄室の影響力は衰えるどころか、組織の重要局面において二重権力構造を生み出し続けた。
現家元である千宗室が意図した組織改革やガバナンス近代化の試みは、大宗匠を担ぐ古参勢力や側近グループによって骨抜きにされる場面が多々見られたという。家元交代から四半世紀近くが経過してもなお、前家元が「院政」のように君臨し続けた結果、組織の指揮系統は二分され、内部での対立と不信感は決定的なレベルまで深まった。伝統芸能の世界に特有の血縁と権威の継承システムが、皮肉にも近代組織としての自己浄化能力を奪い去っていった。