元プロ野球選手の父・山田和利と俳優・山田裕貴。甲子園の夢を絶った少年が、背番号を演技に変えて掴んだ「親子を超えた絆」
山田裕貴のキャリアにおいて、一つの大きな転機となったのが2019年、ナゴヤドーム(現・バンテリンドーム ナゴヤ)で行われた中日ドラゴンズ戦での始球式だ。父・和利氏が長年背負っていた背番号「31」のユニフォームに身を包み、マウンドに立った。
球場全体を包む温かい拍手の中、渾身のストレートを投げ込んだ後、山田の目から涙があふれ出た。一度は諦めたはずの野球のマウンド。しかし、俳優として成功したからこそ、父が立った同じ聖地でボールを投げることができたのだ。「野球では父に追いつけなかったけれど、別の形で父に恩返しができた」。あの涙は、長年の葛藤が解消され、本当の意味で父と和解した瞬間として、ファンの間でいまも語り継がれている。