『孤独のグルメ』に“まずい回”は実在するのか? 放映14年目の検証と、原作に封印された「五郎激怒」の深層
食事とは、常に美味礼賛だけで完結するものではない。急いでかき込んだ駅前の立ち食いそば、雨宿りついでに入った喫茶店のパサついたサンドイッチ、そして旅先で当てが外れた名物料理。それらすべての「失敗」も含めて、人間が一人の空間で胃袋を満たす営みそのものが、本来の『孤独のグルメ』が描こうとしていた風景だったはずだ。
テレビ版が積み上げた10年以上の歴史は、日本の食文化に対する最良のドキュメンタリーである。だが同時に、原作が内包していた「腹立ち紛れの苦笑い」や「やるせない空腹」といった陰影が、ドラマの眩しい幸福感の中で削ぎ落とされてきたこともまた事実だろう。
五郎がまずい飯に当たり、一人静かにため息をつく――そんなあり得ないエピソードを夢想してしまうのは、私たちが彼のことを、作られたヒーローではなく、自分たちと同じ傷つきやすい胃袋を持った生身の人間として愛している証拠なのかもしれない。 (出典: 孤独 の グルメ まずい 回(Yahoo!ニュース))
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