モンシロチョウの幼虫飼育と羽化の秘訣|餌の選び方から寄生対策まで
「大切に育てていたアオムシから、突然黄色い糸くずのような小さな繭(まゆ)が大量に出てきて幼虫が死んでしまった」という事例は、理科の授業や家庭飼育で最も頻繁に報告される悲劇です。この現象の正体は、寄生蜂の一種であるアオムシサムライコマユバチ(学名:Cotesia glomerata)の幼虫が体外へ脱出した痕跡です。
アオムシサムライコマユバチは体長約3mmの極小のハチで、モンシロチョウの若齢幼虫(主に1〜2齢期)の体内に産卵管を突き刺し、一度に数十個から80個近くの卵を産み付けます。寄生された幼虫はそのまま成長を続け、旺盛に葉を食べますが、体内では寄生バチの幼虫が宿主の重要な内臓を避けながら体液や脂肪組織を貪り食っています。そして宿主が5齢幼虫となってサナギになろうとする直前、一斉に皮膚を食い破って脱出し、幼虫の体の周りで一斉に黄色い繭を作ってサナギ化します。
昆虫生態学のフィールド調査データによると、春先から秋口にかけて屋外の畑や公園のキャベツ・アブラナ類から採取された終齢幼虫の寄生率は50%〜80%以上に達することが確認されています。つまり、大きくなったアオムシを野外から捕獲してきた時点で、すでに高確率で寄生されているのが実態です。確実に羽化の感動を体験するためには、寄生バチに卵を産み付けられる前の「卵」の状態で葉ごと採取して飼育をスタートすることが最大の秘訣となります。