「知は力なり」の真意とは?語源と誤解されがちな現代的意味を徹底解剖
「知は力なり」という言葉の原点は、16世紀後半から17世紀初頭のイングランドで活躍した哲学者・政治家のフランシス・ベーコン(Francis Bacon, 1561–1626)にあります。ベーコンは、観察や実験を通じて得られた事実から普遍的な法則を導き出す「帰納法」を提唱し、後のイギリス経験論の基礎を築いた先駆者として知られています。
当時のヨーロッパは、古代ギリシャの教えやキリスト教の教義を無批判に信じる中世スコラ哲学の残影が色濃く残っていました。頭の中だけで論理を組み立てる空理空論に対し、ベーコンは強い疑問を抱きます。「実際に自然を観察し、実験によって確かめられた客観的な知見こそが、人類の生活を前進させる」と主張したのです。
ベーコンの代表作である『ノヴム・オルガヌム』(Novum Organum, 1620年)や、初期の著作『瞑想録』(Meditationes Sacrae, 1597年)において展開されたこの実証主義的な思想が、のちに「知は力なり」というフレーズとして世界中に広まることとなりました。