名優・中村梅之助の波乱生涯と死因の真相|息子・梅雀へ続く役者魂
父の背中を誰よりも間近で見つめ、その役者魂を受け継いだのが、長男の二代目 中村梅雀です。1955年に生まれた梅雀は、父と同じく前進座の舞台で初舞台を踏み、1980年に父の前名である「中村梅雀」を襲名しました。
偉大な父を持つ二世俳優には、常に「親の七光り」という冷ややかな視線がつきまといます。しかし梅雀は、父に甘えることなく劇団の厳しい下積みを黙々と消化。歌舞伎や現代演劇の修練を徹底的に積み重ねることで、確固たる表現力を身につけていきました。時には演技論を巡って激しく意見を交わしながらも、梅雀にとって梅之助は「最も高くて遠い、人生の目標」であり続けたのです。
梅雀は2007年に前進座を退団してフリーへ転身しますが、その芝居にはどこか梅之助を思わせる、観客を包み込むような人情味と深い情感が漂います。現代劇での名脇役ぶりはもちろん、時代劇で見せる品格ある佇まいは、父から直接注ぎ込まれた芸の結晶です。プロ級のベーシストとしても活躍し、ジャンルの枠にとらわれない柔軟な感性を発揮している姿にも、常に新しい演劇を目指して戦った父・梅之助のDNAが息づいています。