日々是好日の本当の意味とは?禅語の由来から映画の魅力まで徹底解説
禅の専門用語であったこの言葉をお茶の間へと浸透させた大きな契機が、エッセイスト・森下典子氏による自伝的エッセイ『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』(新潮文庫)です。2002年の刊行以来、世代を超えて読み継がれるロングセラーとなっています。
著者が大学生の二十歳のとき、母の勧めで何気なく通い始めた茶道教室。当初は「なぜ右足から畳に入るのか」「なぜお湯と水で柄杓の扱いを変えるのか」といった細かな作法やルールに困惑し、理屈が通らないお茶の世界に反発を覚えます。しかし、就職の挫折、失恋、大切な人との別れなど、人生のさまざまな荒波を経験する中で、毎週通う茶室の存在が徐々に著者の生き方を変えていきます。
「頭で考えず、身体に覚え込ませる」「雨の日は、雨を聴く。雪の日は、雪を見る」。五感を研ぎ澄まし、目の前の季節やお茶の温かさに集中することで、自分自身を取り戻していく過程がみずみずしい筆致で綴られています。茶道が単なる伝統文化の枠を超え、人生を軽やかに生きるための「心の処方箋」であることを教えてくれる一冊です。