湯気立つ昭和の記憶!広島で奇跡的に生き残るレトロ自販機巡礼

湯気立つ昭和の記憶!広島で奇跡的に生き残るレトロ自販機巡礼にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

調理自販機の黄金期を支えた主役といえば、富士電機とうどん・そば自販機開発のパイオニアである川鉄アドバンテックだ。特に富士電機が開発した調理機構は、今見ても驚異的なメカニズムで設計されている。お金を入れると、あらかじめ具材と麺がセットされた丼が反転し、わずか数秒で湯を注いでは高速回転させて湯切りを行う。この「遠心力による湯切り」を機械仕掛けのカムとリレー回路だけで完結させているのだから舌を巻く。

マイコン制御が普及する以前のアナログリレー回路は、湿気や油煙、経年劣化に極めて弱い。それでも頑丈な鋳物フレームと愚直な配線設計のおかげで、50年以上経った今も現役でコインを識別し、出汁を注ぎ続けている。川鉄アドバンテックのトースター機構に見られる力学的なアームの動きも同様だ。現代のエンジニアが「一度壊れたら回路図すらない」と頭を抱える精密機械が、広島の片隅で狂いなくタイマーを刻んでいる事実は、日本のモノづくり史におけるひとつの到達点と言っていい。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。