なぜ脇はくすぐったいのか?脳の防衛本能と進化が隠した驚きの真実
脇のくすぐったさを語る上で最大の謎は、自分自身の手では決して再現できない点にある。どんなに敏感な人であっても、自分の指で脇を突いて笑い転げることはできない。この現象の鍵を握るのが、運動制御を司る「小脳」だ。
脳神経科学の知見によれば、自発的に身体を動かす際、運動野から指令が出ると同時に、小脳へ「遠心性コピー」と呼ばれる予測信号が送られる。小脳はこの予測をもとに、自分の手が触れる瞬間の触覚情報をあらかじめ割り出し、感覚野に届く感覚を能動的にキャンセルしてしまう。一方で、他者からの接触にはこの予測フィードバックが働かない。予測不可能な外部の脅威として知覚されるからこそ、激しい反応が引き起こされる。