藤子不二雄Ⓐの光と影|F氏との違いやコンビ解消の真相と代表作
藤子不二雄Ⓐの最大の作家性は、徹底して人間の弱さや欲望を肯定しながらも、その先にある転落をシニカルに見つめる観察眼にありました。
安孫子はよく「人間は誰しも心にドロドロとした黒い部分を持っている。それを隠して綺麗事ばかり描いても嘘になる」と語っていました。その思想が結実した短編ブラックユーモア集は、現代の不条理劇やサイコサスペンスの原点ともいえる切れ味を放っています。
また、安孫子が残した名言の数々には、人生の酸いも甘いも噛み分けた達人ならではの重みがあります。
「人間、明日のことばかり考えて生きていると息が詰まる。今日を面白く生きなきゃ損ですよ」
「才能とは、自分を信じて最後までやり抜く情熱のことだ」
社交的で派手な交友関係を楽しみつつも、机に向かえば孤独な人間の深淵と向き合い続けた安孫子素己。その言葉の数々は、先の見えない時代を生きる私たちに、肩の力を抜いてしたたかに生きる勇気を与えてくれます。