熊本・長崎次郎喫茶室を徹底解剖!文化財カフェの絶品プリンと最新情報
熊本の文化史を語る上で欠かせない存在が、創業明治7年(1874年)という驚くべき歴史を持つ「長崎次郎書店」です。かつて森鴎外の小説『小倉日記』や夏目漱石の熊本滞在時の記述にもその名が登場するなど、近代日本文学の巨人たちとも深い縁で結ばれてきました。
現在の建物は、大正12年の関東大震災の翌年、大正13年(1924年)に再建されたものです。設計を手掛けたのは、三菱合資会社地所部で丸の内の赤レンガ街建設にも携わった名建築家・保岡勝也(やすおか・かつや)。妻入りの木造2階建てでありながら、正面は煉瓦造り風の重厚なタイル貼り、アールデコ調の幾何学的な装飾窓、重厚な銅板葺きの庇など、和洋の美が見事に調和した構造を誇ります。この建築的・歴史的価値の高さから、平成10年(1998年)には国の登録有形文化財に登録されました。
時代が移り変わり、街の風景が近代化する中でも、この場所は熊本の知と美を支えるランドマークであり続けました。そして2013年、建物の保全と新たな文化発信拠点としての役割を担い、2階フロアに誕生したのが「長崎次郎喫茶室」です。高い吹き抜けの梁や磨き込まれたフローリング、アンティーク家具が醸し出す空気感は、扉を開けた瞬間に訪れる人を100年前の熊本へとタイムトリップさせます。