パーム油は体に悪い?発がん性の噂と危険視される理由を徹底解説
私たちがスーパーで購入する加工食品の原材料欄で、「パーム油」という明確な文字を見つけることは稀です。食品表示法において、パーム油は大豆油やナタネ油、コーン油などと同様に「植物油脂」または「食用植物油脂」という包括名での一括表示が認められているからです。この植物油脂の正体とパーム油の関係こそが、日常生活で知らず知らずのうちに摂取量を跳ね上げる構造的な要因です。
国内の油脂流通統計によると、日本に輸入される植物油の中で、パーム油は菜種油に次ぐ巨大なシェアを誇り、その量は年間70万トンを超えます。そしてそのほぼ全量が、外食産業や業務用加工食品へ投入されています。特にパーム油が含まれるお菓子やカップ麺の多さは突出しています。
インスタントのカップ麺では、麺を短時間で乾燥させて独特の縮れと長期保存性を生み出す「油揚げ麺」の揚げ油にパーム油が大量に使われます。パーム油は高温でも油酔い臭(酸化臭)が出にくく、長期間保管しても風味が劣化しにくいという食品加工上の絶大なメリットがあるためです。ポテトチップスや米菓のスナック菓子、準チョコレートのコーティング、サクサクした食感を生み出すビスケットのショートニングなど、手軽に食べられる工業的食品の骨格はパーム油によって支えられています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、飽和脂肪酸の摂取目標量を総摂取エネルギーの7%未満に抑えることを推奨しています。成人男性(1日2,400kcal換算)の場合、飽和脂肪酸の許容量は約18gです。しかし、パーム油で揚げられた大盛りカップ麺1杯とポテトチップス1袋を間食に食べると、それだけで飽和脂肪酸の摂取量は20g近くに達し、1日の推奨上限値を一気に突破してしまいます。これが「パーム油は日常に潜む隠れた過剰摂取源」と呼ばれる所以です。