森ビル一族の華麗なる家系図と遺産|森トラスト分裂の真相を徹底解剖
1993年に泰吉郎氏が逝去した後、森ビルグループは次男・森稔氏が森ビルの社長に就任し、三男・森章氏がグループの財務・投資部門を統括する体制を敷きました。しかし、1999年に両者は完全に袂を分かち、実質的な兄弟分裂に至ります。章氏は森ビル開発(現・森トラスト)を率いて独立しました。
この分裂劇の根底にあったのは、都市開発に対する根本的な理念の衝突です。稔氏は「ヴァーティカル・ガーデンシティ(立体緑園都市)」という理想を掲げ、巨額の投資と数十年の歳月をかけて街ごと再開発するリスクテイク型のディベロッパーでした。一方の章氏は、極めて堅実な財務規律を重んじ、過大な借入を避けて早期に資金回収が見込める優良物件の取得やホテル・オフィス賃貸に特化する投資家型経営を志向しました。
現在における森ビルと森トラストの違いは明確です。
- 森ビル:大規模複合再開発(六本木ヒルズ、麻布台ヒルズ、虎ノ門ヒルズなど)を軸に、文化施設や商業を一体化させた都市づくりを推進。
- 森トラスト:厳格な自己資本比率を維持しながら、高級外資系ホテルの誘致(マリオット、エディションなど)や都心プライムオフィスの賃貸事業を展開。