軍足人形が語る知られざる歴史とぬくもり|戦時中の祈りから現代の手芸文化への再評価

軍足人形が語る知られざる歴史とぬくもり|戦時中の祈りから現代の手芸文化への再評価に関する話題のニュースを分かりやすく解説します。関心のある方は必見です。

「軍足(ぐんそく)」とは本来、旧日本陸海軍の兵士用に支給された厚手の靴下を指す。厳しい行軍や作業に耐えうるよう、太い綿糸で密に編まれた靴下は、非常に頑丈で保温性に優れていた。カラーは兵衣に合わせたカーキ色や生成りが主流である。

この無骨な軍足がなぜ人形へと姿を変えたのか。その契機となったのが、戦時下における「慰問袋(いもんぶくろ)」の文化だ。

1930年代後半から始まった日中戦争および太平洋戦争中、銃後(家庭)の女性や女学生たちは、前線で戦う兵士たちを慰めるために食料や日用品を詰めた「慰問袋」を作成した。その中に、手作りの小物を添えることが推奨されたのである。物資が困窮し、特別な布地の手配が難しいなか、手元にあった未着用の軍足や古くなった靴下が活用された。

靴下の踵(かかと)のふくらみは、人形の顔や臀部の立体感を表現するのに絶好の構造をしていた。裁縫箱に残った糸やボタンを縫い付け、余り布を詰めれば、即座に愛くるしい人型や動物型の人形が完成する。女性たちは、兵士が過酷な前線で少しでも笑えるように、そして何より無事に帰還できるようにと、ひと針ひと針に願いを込めて軍足人形を縫い上げた。

斉藤 蓮

斉藤 蓮

デジタルマーケティングコンサルタント

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。