『春にして君を離れ』結末の衝撃真相!完璧な妻の崩壊とラストの意味
物語の主人公は、イギリスの地方都市で弁護士の夫ロドニーと3人の子どもに囲まれ、何不自由のない上流中産階級の生活を送ってきた主婦ジョーン・スクダモアです。 バグダッドに嫁いだ末娘バーバラの病気見舞いを終えたジョーンは、帰国の途につきます。しかし、途中の小さな鉄道沿線の宿泊所「テル・アブ・ジール」で、大雨による線路冠水のため足止めを余儀なくされます。電報も届かず、本も編み物も手元になく、言葉の通じない現地スタッフがいるだけの荒涼とした砂漠の宿舎。 外部からの刺激や日常の雑事が完全に遮断された空間で、ジョーンの脳裏に旧友ブランシュ・ハガードとの偶然の再会が蘇ります。奔放で世間体の悪い人生を送るブランシュが言い放った「あなたはずっと自分の欲しいものを手に入れてきたのね、ジョーン」という一言が、静かな砂漠の沈黙の中で猛烈な棘となってジョーンの記憶を刺激し始めます。 暇を持て余したジョーンは、自らの輝かしい人生を振り返り始めます。しかし、何気ない過去の記憶を一つひとつ手繰り寄せるうちに、これまで信じ切っていた「幸せな家庭」の輪郭が歪み始めます。