エタノールとアルコールの違いとは?消毒・掃除の正しい選び方
直感的には「純度100%に近い無水エタノールのほうが除菌効果が高いのではないか」と考えがちです。しかし、微生物学的なメカニズムに基づくと、純度が高すぎるエタノールは消毒薬として十分に機能しません。
エタノールが細菌やウイルスを不活性化させるプロセスは、「細胞膜(またはエンベロープ)の脂質を溶解し、内部のタンパク質を凝固・変性させる」という段階を踏みます。純度99.5%以上の無水エタノールは揮発スピードが極めて速く、細菌の内部に浸透する前に瞬時に蒸発してしまいます。また、瞬時に表面のタンパク質だけを凝固させて強固な膜を作ってしまい、菌の内部深くまでアルコール分子が届きません。
一方で、約20%程度の水分を含んだ70〜83vol%の推奨濃度に調整された消毒用エタノールは、水の作用によって蒸発が適度に遅延します。水分が介在することでエタノール分子が細胞膜を通り抜け、菌の内部構造を根本から破壊できるため、最も効率的な除菌・殺菌効果を発揮します。
厚生労働省のガイドラインでも、手指消毒用のアルコール消毒液濃度としては「70%以上83%以下(体積パーセント)」が推奨されています(※原材料調達が困難な状況下では60%台でも一定の有効性が認められています)。