琵琶湖深海に沈む太古の謎:なぜ葛籠尾崎の土器は完形のままなのか
滋賀県長浜市沖に広がるこの巨大な水中現場は、世界的に見てもきわめて稀有な水中考古学のフィールドだ。ヨーロッパのアルプス周辺で見られる杭打ち集落遺跡と比較されることも多く、日本考古学協会をはじめとする学術団体からの注目度も極めて高い。
陸上遺跡では酸化して失われてしまう木器や漆器、草編み製品といった有機質遺物が、湖底の還元環境下で無傷のまま残されている可能性が極めて高いからだ。一連の発掘調査と分析成果は、単に土器の年代を塗り替えるにとどまらず、古代人が琵琶湖という巨大な水環境とどのように対話し、生き抜いてきたのかという生活生態史そのものを鮮やかに描き出しつつある。