エアコン28度の電気代は本当に安い?高くなる噂の真相と最新節電術
そもそも、なぜ日本中で「エアコン=28度」という数字が金科玉条のように信じられるようになったのでしょうか。ここには、20年以上にわたる行政指針の伝達ミスという環境省28度設定の真相が存在します。
発端は2005年に始まった「クールビズ」施策でした。当時、環境省は「冷房時の室温28度」を呼びかけました。しかし、ここで示されていたのはあくまで「室内の温度(室温)を28度に保つこと」であり、「エアコンのリモコンを28度に設定すること」ではありませんでした。この28度という数値自体も、1970年に制定された「建築物環境衛生管理基準(ビル管法)」で定められた「居室の温度は17度以上28度以下」という許容基準の上限値を引用したものであり、科学的な医学的快適温度として算出されたものではありませんでした。
後に環境省の担当幹部も「28度という数字が一人歩きしてしまった」「設定温度ではなく室温を意味していた」と公の場で釈明しています。しかし、すでにスローガンとして定着した「冷房28度」のラベルは剥がれず、多くの家庭や職場で「リモコンのボタンを28度にする」という誤った運用が定着してしまいました。
この認識のズレがもたらす最大の弊害が、深刻なエアコン28度熱中症リスクです。東京消防庁や日本救急医学会の統計資料によると、熱中症による死亡事故の約8割から9割が「屋内」で発生しており、その大半が高齢者です。宅内で倒れていた人の部屋を調査すると、エアコンが設置されていないケースだけでなく、「エアコンはついていたが28度設定になっており、室温計は31度、湿度75%を超えていた」という凄惨な現場が多発しています。
高齢になると暑さを感知する皮膚感覚や自律神経の温度調節機能が鈍化するため、部屋が危険な暑さになっていても「エアコンが動いているから大丈夫」と思い込んでしまいます。電気代の数百円をケチった結果、熱中症で救急搬送されて数日間の点滴・入院費(数万円〜数十万円)が発生しては本末転倒です。