タヒチアンダンスとフラダンスの違いとは?歴史や衣装を徹底解剖
両者の舞台を一目見れば、耳に飛び込んでくる音の質感の違いに誰もが圧倒される。タヒチアンダンスの真骨頂といえば、木製スリットドラム「トエレ」の超高速連打に合わせて腰を激しく打ち振るオテアだ。激越なビートに呼応し、上半身を静止させたまま骨盤だけを円形や八の字に高速回転させる技術は、鑑賞者の視線を釘付けにする。一方で、メロディアスな歌と弦楽器に乗せて情感豊かに愛や自然を語るアパリマも存在し、動と静の鮮やかなコントラストがこの踊りの生命線となっている。
対照的に、フラダンスの基本思想は「言葉の可視化」にある。神々への祈りを捧げる古典様式のフラ・カヒコであれ、ウクレレやスラックキーギターの甘美な旋律に合わせる現代様式のフラ・アウアナであれ、中心にあるのは常に「メレ(詩)」だ。ダンサーの手の動き(ハンドモーション)は雨、風、波、愛しい人への情愛を指し示すハンドサインであり、足のステップによる重心移動が腰の優美な揺れを自然に生み出す。タヒチアンが打楽器と肉体の瞬発力で空間を切り裂くアートなら、フラは歌の心を指先から空間へ染み渡らせる語り部の芸術といえる。