アラジンの舞台はどこの国?原作の中国設定と砂漠の王国の真実
では、現代の私たちが思い描くアラビアンな世界観はどこで決定づけられたのか。その鍵を握るのが、18世紀フランスの東洋学者アントワーヌ・ガランである。
ガランは『千夜一夜物語』をヨーロッパに初めて翻訳・紹介した人物として知られる。驚くべきことに、アラジンの物語は元々の古典アラビア語写本には存在せず、ガランがシリア・アレッポ出身の旅人ハンナ・ディヤーブから直接聞き取った口承記録を元に追加した「孤児の物語」と呼ばれるエピソード群の一つだった。
ガランはヨーロッパの読者を魅了するために、中東の宮廷文化や砂漠の風土を巧みに織り交ぜてテキストを磨き上げた。中国というエキゾチックな額縁の中に、スルタン、市場の喧騒、ジン(魔人)といったアラブ伝承の精髄を注ぎ込んだのだ。この絶妙なブレンドこそが、後世のクリエイターたちを刺激する無二の物語世界を生み出す土台となった。