世界三大美女に小野小町は日本だけ?ヘレネーとの違いと選出の真相
日本国内で広く浸透している「クレオパトラ・楊貴妃・小野小町」という組み合わせは、海外では基本的に通用しません。欧米の歴史解説書や百科事典において、歴史上・文学上で突出した美の象徴として引き合いに出されるのは、クレオパトラ7世、楊貴妃、そしてホメロスの叙事詩『イリアス』に描かれたヘレネーです。
海外の文学・歴史研究においてヘレネーが絶対的な位置を占める理由は、その存在が「国家間の全面戦争(トロイア戦争)」を巻き起こした究極の契機として描かれている点にあります。スパルタ王メネラオスの妃でありながら、トロイアの王子パリスに連れ去られたことで、ギリシャ連合軍とトロイアの間で10年に及ぶ大戦争が勃発しました。西洋文明の揺籃(ようらん)となった古代ギリシャ叙事詩の根幹に君臨するヘレネーは、まさに西洋世界における「美の原体験」とも呼べる文化的象徴です。
これに対し、平安時代前期に活躍した小野小町は、六歌仙の一人として類まれな和歌の才能を発揮した貴族女性ですが、彼女の行動が国家の存亡を揺るがした記録はありません。海外の読者から見れば、「地中海世界を二分するローマ内乱に介入したエジプト女王(クレオパトラ)」や「大帝国・唐を揺るがした安史の乱の引き金となった貴妃(楊貴妃)」と並べる対象として、一地方の宮廷歌人である小野小町が配置されていること自体が、極めて不可解に映るのです。