筋トレ用マウスピースの真実|重量アップと歯の保護効果を徹底検証
噛み合わせと筋出力の関係は、長年にわたりスポーツ科学の実験室で検証が重ねられてきた領域である。とりわけ知られているのが、かつて米国の研究開発から誕生し世界的なブームを巻き起こしたアンダーアーマー アーマーバイトに代表される、機能性マウスガードの系譜だ。
下顎を理想的な位置(下前方にわずかに開いたリラックスポジション)に配置して噛み合わせを安定させると、脳幹へのストレスシグナルが緩和され、過剰なコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が抑制されることが臨床データで示されてきた。また、奥歯をしっかりと噛み締める動作は「Jendrassik手技(膝蓋腱反射を高めるために手を用手で引っ張り合う動作)」と同様に、全身の運動神経プールの興奮性を高める反射を引き起こす。
筋電図(EMG)を用いた複数の運動負荷試験において、適切なマウスピースを装着して最大努力の等尺性収縮を行った場合、未装着時に比べて僧帽筋や脊柱起立筋群の放電量が2〜5%程度向上したというデータが存在する。このわずかな出力差が、限界重量での「あと1レップ」「スティッキングポイント(最もバーベルが重く感じる局面)の突破」を分ける要因になるのである。