数字に色が見えるのはなぜ?共感覚の真相と脳の仕組みを徹底解明
文字という無機質な記号を見たとき、なぜ脳は色彩情報を同時に立ち上げるのでしょうか。近年のfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いた脳機能イメージング研究により、その物理的なメカニズムが徐々に解明されてきました。
人間の脳内において、数字や文字の形を認識する「紡錘状回(ぼうすいじょうかい)」と、色を識別・処理する「V4野(視覚野の一部)」は、側頭葉と後頭葉の境界付近で隣接して存在しています。通常の発達過程では、生後まもなく脳内の過剰な神経回路が間引かれる「シナプス・プルーニング(神経刈り込み)」が行われますが、共感覚者ではこの隣り合う2つの領域をつなぐ神経線維が間引かれずに残り、領域間の直接的な情報混線(クロストーク)が生じていると考えられています。
また、原因の背景には明確な遺伝的要因が存在します。英サセックス大学などの大規模調査によると、共感覚を持つ人の約40%に同様の知覚を持つ血縁者(親、兄弟、子どもなど)が存在することが確認されています。特定の単一遺伝子によって引き起こされるわけではなく、脳の神経配線や結合の柔軟性に関わる複数の遺伝的素因が複雑に組み合わさることで、感覚の融合が発現すると分析されています。