呪われた王カルロス2世の悲劇|ハプスブルク家断絶と近親婚の真相
カルロス2世には「情緒不安定で奇行を繰り返した」という噂が数多く残されています。自室に引きこもって癇癪を起こす、突然意味不明な叫び声を上げる、といった行動が宮廷外交官たちの報告書に記されていました。
特に後世で語り草となっているのが、エル・エスコリアル修道院の霊廟に赴き、安置されていた先祖たちの棺を開けさせて遺体と対面したというエピソードです。カルロス2世は防腐処理された最初の妃や先代の遺骸を前に涙を流し、自らの死期を悟って棺の横に横たわったとされています。
こうした行動は後世「狂気」や「奇行」として面白おかしく誇張されがちですが、実際には過酷な精神的孤立が原因でした。世継ぎを産み出せないプレッシャーに加え、宮廷の聖職者たちは王の病を「悪魔の仕業」と決めつけ、カルロス2世に対して過酷な悪霊祓い(エクソシズム)を連日実施したのです。
無理やり吐瀉薬を飲まされたり、聖油で清められたりする拷問に近い儀式が繰り返され、王の心身はさらに破壊されていきました。彼を追い詰めたのは精神の異常ではなく、逃げ場のない宮廷環境と身体の激痛だったと言えます。