「虚を突かれた思いがした」の意味と心理|漱石の名作や類語から解説
「虚を突かれた思いがした」という慣用句の根底にあるのは、古代中国の兵法書『孫子』にも通じる「虚実(きょじつ)」の概念です。「実」が備えが万全で隙がない状態を指すのに対し、「虚」は油断や気の緩み、無防備な状態を意味します。
つまり「虚を突く」とは、相手が全く警戒していない無防備な隙や油断を狙って攻め込むことを指します。そしてこれを受身にし、主観的な心情表現にした「虚を突かれた思いがした」は、次のような複合的な心理状態を示します。
単に「予想外のことが起きてびっくりした(=驚き)」だけではありません。「自分は大丈夫だと思っていた」「相手がそこを突いてくるとは思いもよらなかった」という自惚れや油断があったからこそ、そこを的確に突かれた際に生じる「焦燥感」「恥ずかしさ」「無防備さを暴かれた恐怖」が入り混じった激しい感情の動きを表しています。