天才作家・森博嗣の思考と全作品解剖!読むべき順番と創作の秘密

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1996年、第1回メフィスト賞を受賞した『すべてがFになる』の登場は、文芸出版産業にとってひとつの事件だった。当時、名古屋大学工学部の助教授であった著者が、多忙な研究の合間に執筆したという背景そのものが異例なら、作品が内包する圧倒的な論理構造もまた前代未聞だった。

綾辻行人らに端を発する新本格ミステリの潮流が爛熟期を迎えるなか、本作がもたらしたのは「理系ミステリ」という新たな地平である。密室殺人という古典的フォーマットを借りながら、コンピュータ、暗号、そして閉鎖空間における論理の究極形を提示した。建築学科の准教授・犀川創平と、明晰な頭脳を持つ女子学生・西之園萌絵の軽妙かつ哲学的な対話劇は、S&Mシリーズとして全10巻にわたって展開される。

そして何より読者を震撼させたのは、作中に君臨する天才プログラマー・真賀田四季の存在だ。「誰も出入りできない島」の密室で起きた事件の核心には、人間の意識とは何かという根源的な問いが潜んでいた。講談社から刊行されたこのシリーズは、単なる謎解きを超えた思索のモニュメントとして、今もなお色褪せない。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。