感情失禁とは何か?突然泣き出す脳のサインと正しい対処法を解説
臨床現場において感情失禁が最も多く確認される疾患群が、脳血管障害(脳梗塞・脳出血)の後遺症と、それに起因する脳血管性認知症です。日本国内の脳卒中リハビリテーション実態調査や関連学会の報告によると、脳卒中発症者のおよそ15%から20%に何らかの情動調節障害が認められ、特に両側性多発性脳梗塞や深部白質病変を抱える患者において好発することが分かっています。
脳血管性認知症の初期症状として感情失禁が現れる場合、いわゆる「まだら認知症」と呼ばれる特徴的な現れ方をします。高度な計算や過去の記憶が明瞭に保たれている一方で、夕方の特定の時間帯や家族との日常会話の最中に突如として感情の堤防が決壊します。脳血管性認知症に伴う兆候を早期に検知するためのチェックリストは以下の通りです。
【脳血管障害・脳血管性認知症に伴う初期兆候チェックリスト】
□ 挨拶やテレビのニュースなど、感情が動くはずのない日常会話で急に泣き崩れる
□ 泣いた直後に何事もなかったかのように平然とした表情に戻る
□ 笑い始めたら過呼吸になるほど止まらず、本人が「苦しい」と訴える
□ 水を飲む際によくむせたり、言葉の語尾が不明瞭になったりしている
□ 手足の軽微なしびれや、歩行時の小刻みなすり足が目立ち始めている
□ 本人に理由を尋ねても「自分でもなぜ泣いているのか分からない」と答える
これらが複数当てはまる場合、以前に自覚症状のない「無症候性脳梗塞(かくれ脳梗塞)」を多発させている可能性が極めて高く、早急な画像診断(頭部MRI・MRA)が推奨されます。