つむじが2つある人は天才か?確率と遺伝の真相&割れない髪型セット術
頭頂部の渦巻き、すなわち「毛流の起点」が複数存在する現象は、医学界では「多重つむじ」と呼ばれます。日本人を含むアジア圏の頭髪形態調査や皮膚科学の臨床データによると、つむじが2つ存在する確率はおよそ7%前後と報告されています。全体の約9割が単一のつむじを持ち、3つ以上のつむじを持つ人は1%未満にとどまるため、2つのつむじは統計上、極めて明確な少数派に位置づけられます。
では、なぜ毛流の渦が2箇所に分かれて生まれるのでしょうか。その根底にはつむじ2つの遺伝の理由と、胎児期における極めて精緻な細胞分裂のプロセスが存在します。人間の毛髪は、母胎内にいる妊娠第10週から第12週頃、胎児の頭皮表面で毛包(もうほう)が形成される際に毛流の向きが決定づけられます。脳組織の急速な拡張に伴い、頭皮の皮膚組織が引き伸ばされる力学的作用と、遺伝子発現(FGFシグナル伝達系など毛流パターンを司る遺伝情報)が相互に作用し、渦の中心が決定される仕組みです。
両親のどちらかに多重つむじがある場合、子どもに受け継がれる確率は優位に高まることが観察されており、常染色体上の複数遺伝子が関与する多因子遺伝と考えられています。生後間もないつむじが2つある赤ちゃんの頭頂部を目にして「将来、頭蓋骨や脳の発達に異常があるのでは」と思い詰める保護者もいますが、毛流のパターンと中枢神経の発達障害には何ら医学的相関関係はありません。人種差や指紋と同じく、一人ひとりの身体に刻まれた純粋な形態的多様性の一つに過ぎないのです。