労働条件通知書をもらってないのは違法?罰則の真相と角が立たない請求手順
求職者がいくら催促しても、なぜか労働条件通知書を発行しようとしない会社が存在します。取材を進めると、その背景には大きく分けて「組織の未熟さ」と「悪質な意図」の2つのパターンが浮かび上がってきます。
1. 単なる労務知識の欠如と事務管理のルーズさ
中小零細企業やスタートアップ企業において散見されるのが、経営者や総務担当者が労働法の基礎知識を持っておらず、「採用が決まったら口頭で伝えて終わり」と思い込んでいるケースです。悪意こそないものの、労務管理が破綻している組織であり、今後の社会保険手続きや有給休暇の管理などでもトラブルが連発する温床となります。
2. 条件をあいまいにし、都合よく働かせる「確信犯的搾取」
極めて危険なのが、意図的に書面を出さない悪質な企業です。書面化しない最大の動機は、「言った言わないの水掛け論に持ち込み、会社側の都合で労働条件を切り替えるため」に他なりません。
具体的な手口として多いのが、求人票には「月給30万円・残業月20時間程度」と記載しておきながら、実際には「固定残業代60時間分を含む」「基本給は18万円で残りは不支給要件つきの手当」といった欺瞞(ぎまん)工作です。書面を渡してしまうと動かぬ証拠が残るため、あえて発行を先延ばしにし、労働者が違和感を覚えた頃には既成事実化を図るという心理的支配の罠が仕掛けられています。