オトナ帝国はなぜなんJで最高傑作と絶賛されるのか?名作の理由を解剖
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本作を語る上で絶対に外せないのが、映画史に残る名場面として名高い「ひろしの回想」です。敵の組織「イエスタデイ・ワンス・モア」の罠によって過去の世界に囚われ、少年時代に戻ってしまった野原ひろしが、自分の靴の強烈な足の臭いを嗅いだことをきっかけに、これまでの全人生を一気に思い出す約3分半のシークエンスです。
このシーンの恐ろしいまでの完成度は、回想中にセリフを一切排し、美しいピアノの旋律(劇伴『ひろし SUN』)とアニメーションの動きだけで、一人の平凡な男の半生を描き切った点にあります。父の自転車の後ろに乗っていた少年時代から、上京しての就活、満員電車に揺られる過酷なサラリーマン生活、みさえとの出会い、しんのすけの誕生、マイホームの購入と家族との団らん――。観客はそこに、自分自身の過去や父親の姿を重ねずにはいられません。
そして回想の終盤、成長したしんのすけの「オラ、しんのすけだゾ」という呼びかけに、ひろしが涙を流しながら息子を強く抱きしめる瞬間、観る者の感情は完全に決壊します。後にひろしが放つ「俺の人生はつまらなくなんかない!家族のいる幸せを、あんたたちに分けてやりたいくらいだぜ!」という魂の叫びは、ネット上でも野原ひろしの屈指の名言として今なお多くの人々の胸に深く刻まれています。