上野ご飯の最前線!老舗の名味から路地裏の隠れバルまで徹底取材
上野恩賜公園の緑深き丘に立つと、高台から東京の街を見下ろす西郷隆盛像の視線の先に、この国の近代食文化の原点が見えてくる。1872年創業の上野精養軒は、文明開化の波とともに西洋料理を日本人の舌に合わせて昇華させてきた象徴的存在だ。
何日もかけて丁寧に煮込まれる伝統のドミグラスソースは、深いコクとほのかな酸味が幾重にも重なり合い、口に含んだ瞬間に歴史の重みを伝える。肉の旨味を閉じ込めたビーフシチューや、艶やかなオムライスは、奇をてらわない本物の技法が息づく傑作だ。ここで確立された「日本の洋食」の精神は、今なお周辺の下町洋食店へと脈々と受け継がれている。
公園内の美術館や博物館で感性を刺激された後、クラシカルなダイニングで楽しむ洋食ランチは、慌ただしい日常から切り離された格別の時間をもたらしてくれる。