鼠径部のしこりは何科へ?痛くない放置が招く危機と男女別受診術
Q1:鼠径部のしこりは、薬を飲んだり運動したりして自然に消えることはありますか?
A1:鼠径ヘルニアやヌック管水腫、粉瘤などの器質的疾患である場合、投薬や運動によって自然消失することは絶対にありません。むしろ筋トレや重労働で腹圧をかけるとヘルニア門が広がり悪化します。ただし、足の傷などが原因の一時的な「鼠径リンパ節炎」であれば、感染の鎮静化とともに数週間で自然退縮することはあります。自然消退を期待して放置せず、まずは超音波(エコー)検査で性状を特定することが先決です。
Q2:診察では下半身をすべて見せる必要がありますか?女性医師を希望できますか?
A2:診察時にはしこりの位置や鼠径管の状態を確認するため、下着を少し下げて患部を露出する必要がありますが、バスタオル等でプライバシーに最大限配慮しながら行われます。立った状態とお腹に力を入れた状態、横になった状態での触診、および痛みのない体表超音波(エコー)検査が基本です。女性患者の場合、女性医師が在籍するヘルニア外来や婦人科、総合診療科を選択して予約することも可能です。
Q3:皮膚科と外科のどちらに行くべきかどうしても判断がつきません。
A3:判断の決定打は「しこりの深さ」と「姿勢による変化」です。皮膚のすぐ浅い層にあり、つまむことができ、皮膚の表面に黒い開口部や赤みがあるなら「皮膚科・形成外科」です。一方で、皮膚よりも奥深くの筋肉の隙間から押し出されている感触があり、立ち上がると出現して横になると消えるなら「一般外科・消化器外科」を選んでください。それでも迷う場合は、設備のある「総合内科」または「かかりつけ医」を受診すれば、エコー検査等を用いて適切な診療科へ紹介状を発行してもらえます。
Q4:しこりを手で強く押し込んでも問題ないでしょうか?
A4:普段から出入りしている柔らかい初期の鼠径ヘルニアであれば、仰向けになって深呼吸しながら優しく指の腹で撫でるように押し戻すことは問題ありません。しかし、強い痛みを感じる場合や、硬くなって抵抗がある場合に力任せに押し込もうとする行為は厳禁です。虚血に陥って傷んだ腸管を腹腔内へ無理に戻すと、腹腔内で腸が破裂して致命的な急性腹膜炎を引き起こす危険があります。戻らない場合はすぐに受診してください。