米津玄師の正しい読み方と本名の真相|由来からハチ名義の謎まで徹底解剖
米津玄師を語る上で欠かせないのが、インターネット黎明期のニコニコ動画を席巻したボカロP「ハチ」としての顔です。「マトリョシカ」「結んで開いて羅刹と屍骸」「パンダヒーロー」など、中毒性の高い高速ビートと独自のアートワークで当時のユースカルチャーに衝撃を与えました。
ネット上のアバターであり記号であった「ハチ」という名義から、なぜあえて重厚な本名「米津玄師」へと活動形態をシフトさせたのか。その背景には、表現者としての強烈な自己対峙とパラダイムシフトがありました。
VOCALOIDという仮想の歌姫を介した創作は、匿名性のヴェールに守られた心地よさをもたらす反面、「自分自身の肉体や喉を使って、生身の人間と対話したい」という切実な欲求を生み出しました。2012年にリリースされた1stアルバム『diorama』を機に本名名義でのソロ活動を開始した際、彼は「自らの姿を晒し、自分の言葉と声で責任を引き受ける」覚悟を固めたのです。
現在でも「ハチ」名義は完全な過去形ではなく、2017年の「砂の惑星」のようにボーカロイドシーンへの批評的アプローチを行う際に限定して発動される特別な看板として共存しています。実名の「米津玄師」と記号の「ハチ」を明確に使い分ける複線的な作家性は、デジタルネイティブ世代のクリエイターにとって決定的なロールモデルとなりました。